ジョージ・フレデリック・ヘンデル作曲/オラトリオ「メサイア」については過去このブログで取り上げさせていただきました。ロバート・ショウ指揮アトランタ交響楽団、クリストファー・ホグウッド指揮エンシェント室内管弦楽団、鈴木秀美指揮バッハ・コレギュウム・ジャパン・・・。それぞれ大変魅力的な演奏で、素晴らしいソプラノ、テノール、バス、そして合唱もそれぞれ素晴らしい。しかしながら今回ご紹介するオットー・クレンペラー指揮の「メサイア」はフィルハーモニア管弦楽団、フィルハーモニア合唱団の演奏、合唱、そしてそれぞれのソプラノ、アルトなどの声楽パートなど非常に宗教的な香りがします。
クレンペラー指揮のCD盤を15年前くらいに購入していたことを私はすっかり忘れていました。クレンペラーさん、ごめんなさいという気持ちです。冒頭の ” シンフォニー(序曲)” からスローなテンポで始まるこの盤は他の盤と較べても明らかに違うもので、ちょっと重苦しいのですが、そのスローな始まり、全体を通してやや遅めのテンポはやはり ” 宗教曲 “ということを強く感じます。
この「メサイア」ですが、盤によってバージョンが違っていて、前述のホグウッド盤は ” 捨て子養育院版 ” 、そして1753年のロンドン、コヴェント・ガーデンで上演された形にのっとったバッハ・コレギュウム・ジャパンの ” コヴェント・ガーデン版? ” の演奏 など、ヘンデルが「メサイア」の上演ごとに声楽部を変更し、曲を加えたりカットしたりしたために様々なバージョンがあるようです。クレンペラー盤に話を戻します。ソプラノのエリザベート・シュワルツコップは20世紀後半を代表する歌手の一人として、重要性はマリア・カラスに匹敵すると言われています。CD盤のレーベルはEMI Classicで、ART(アビイ・ロード・テクノロジー)処理された盤なので音質はいいのですが、録音されたのが1964年(ロンドン/キングスウェイ・ホール)ということでやはり時代を感じさせる音です。レコーディングはロンドンのキングスウェイ・ホールとなっております。CD番号はTOCE-59100~1(2枚組)