米国ヘヴィーロックと言えば私にとってはMOUTAINですが、単なるヘヴィーだけではないのです。

9月5日は台風のせいか、多少涼しいですが相変わらず暑い日々が続いています。前回はJ.S.バッハのパルティータについていろいろ書かせていただきましたが、とにかく暑いのでクラシックは涼しくなってからということで。という訳で冷えたビールでも飲みながら、ヘヴィーロックの雄、MOUNTAINの再登場であります。MOUNTAIN「FLOWER OF EVIL(悪の華)」については2023年5月10にアップしていますので是非そちらもご覧ください。

今回ご紹介するアルバムは、1970年にリリースの「勝利への登攀(Climbing)」です。なんかデヴューアルバムみたいです。このアルバムは購入したことがなかったため、ヤフオクでCD盤を落札したものです。1971年に公開されたアメリカ映画「バニシング・ポイント」の挿入曲 ” ミシシッピー・クィーン ” から始まるこのCD盤の中ではこの曲だけのために所有するのもありだと思いますが、MOUNTAINが紡ぎ出すロックは、ただ激しいだけのロックではなく、なにかもの悲しいメロディーラインの曲があったり、非常に個性的なレスリー・ウェストのギター、荒々しいコーキー・レイングのドラム、そして私的には忘れてはいけないと思っているスティーブ・ナイトのキーボード(ピアノ)の味わい深い旋律、そして何といってもグループの顔フェリックス・パッパラルディ(ベース)のバラエティに富んだ音楽的指向性が随所に見られるところが非常に素晴らしい!アメリカ合衆国のミシガン大学でクラシック音楽を学ばれたようです。

録音的には正直イマイチな仕上がりではありますが、ボーナストラックの最後のナンバー ” ヤスガーの農場/ライヴ ” が収録されていて、1970年前後のロックシーンの中で当時のロックの熱気というか、勢い任せというかそんな激しさと同時に叙情性のあるメロディラインも感じられます。いろいろな顔をもっているところがロック一辺倒な他のグループとの違いだと思います。

このCD盤のレーベルはソニー・ミュージック・エンタテインメント、CD番号はSICP 30059 、レガシー・レコーディングス ロック名盤100タイトルというシリーズの中の一枚です。ジャケットデザインに使われているイラストは手描きでなかなか味わいがあります。