クレンペラー指揮、J.S.バッハ作曲「ミサ曲 ロ短調」BWV.232は捨て難い魅力に溢れています。

前回のブログでご紹介したヘンデル作曲「メサイア」の後、クレンペラー指揮の他の盤を毎日聴いております。ヘンデルとくれば同時期に生まれたJ.S.バッハであります。J.S.バッハの宗教曲の中では謎が多い「ミサ曲 ロ短調」ですが、そもそもプロテスタントのルター派信者であるにも拘らず、何故カソリックのミサ曲の形式にしたのか?しかしながらカソリックとは違った構成をとっているとか、バッハ自身の自筆譜にはどこにも「ミサ曲 ロ短調」のタイトルが付けられていないとか・・・まあ、そんなことは深く考えずにまずは聴いてみた方がいいと思います。がしかし最初はなにかピンとこないかもしれませんが、何回も聴き込むうちに少しずつ良さが分かってくるのではないかと。偉そうですみませんが10回くらい聴かないと良さはわかりません(私的には)。CD1の1曲目、キリエ/ ” 主よ、憐れみ給え ”(合唱)はスローなテンポで始まります。「メサイア」の時もそうですが、クレンペラー氏の指揮はここでも非常にゆっくりとした指示を出しています。1曲目からJ.S.バッハの世界観全開、宗教的という点ではやはり「メサイア」の比ではありません。合唱の素晴らしさ、合唱団員のクレンペラー氏に対する崇敬の念を感じます。そして、2曲目、キリエ/ ” キリストよ、憐れみ給え” のソプラノ二重唱の美しさ。そして、このミサ曲の中で一番のお気に入りの曲は7曲目・・グローリア/ ” 主なる神 ”  の一転して明るい曲調(長調?)に何か懐かしさを感じるのは私だけでしょうか?J.C.バッハの「ミサ曲 ロ短調」の制作意図は今となってはわかりませんが、カソリック、プロテスタントの各宗派を超えて、宗教音楽のJ.C.バッハなりの到達点として捉えるのが通説になっております。バラエティに富んだメロディ、感動的なソリストの方々の歌唱、コーラス等・・・録音されたのは1967年ですから、ヴォイオリンなどはオリジナル楽器ではなくモダン楽器ではありますが、そんなことはどうでもいいのです。確かに今の時代のデジタル録音に較べると時代を感じる音質ですが、そこはEMIクラシックのアビーロード・テクノロジー(ART)技術で音質も改善されています。

オットー・クレンペラー指揮/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団、BBC合唱団、ジャネット・ベイカー(ソプラノ)、ニコライ・ゲッダ(テノール)、ヘルマン・プライ(バリトン)など声楽陣も有名どころが揃っています。CDレーベルはEMI Clssics  、CD番号はTOCE-59098〜99です。そして最後に、このCD盤のジャケットデザインも” ミサ曲 ロ短調 ” らしい?敬虔なデザインで好感がもてます。