ちょっと難解な現代音楽ですが、このCD盤は最後まで聴けるのが不思議?

ストラヴィンスキーが現代音楽の ” 祖 ” かどうかはわかりませんが、少なくとも私はそう思っております。過激なリズムと唸るような金管楽器、大太鼓(ハルサイ)等、現代音楽に大きな影響を与えていますし、映画音楽にも大きな影響(S・スピルバーグ監督の ” ジョーズ ” 等)を与えたと言ってよいと思っています。さて、アンネ ゾフィー・ムター(以下、ムター氏)という現在世界N0.1の実力を誇るヴァイオリニストがいらっしゃいます。少なくとも私はそう断言します。とにかく、とんでもないテクニックを持った方で、「ムター/ツィゴイネルワイゼン、ヴァイオリン名曲集」というCD盤を聴いていただければほとんどの方はそのことを納得されるでしょう。サラサーテ作曲「ツィゴイネルワイゼン作品20」、ラベル作曲「ツィガーヌ」、サラサーテ作曲「カルメン幻想曲 作品25」等など。この方は超絶テクニックとスケールの大きさも持ち合わせている方だと思います。

そしてここからが本題で、ムター氏は現代音楽も積極的に取り上げる方でもあるようです。ペンデレツキ作曲:ヴァイオリン協奏曲 第2番」は明らかに現代音楽です。がしかし、聴いていて飽きない、最後まで聴いてしまうのが不思議です。何故でしょうか?調性のないところはいかにも現代音楽?らしさはあります。ただ、他の現代音楽の作曲家、例えばヴエーベルンのCD盤(指揮はピエール・ブーレーズ)を最後まで聴くのは正直キツイのです。とはいえ、なんとか現代音楽を理解しなくてはと、ピエール・ブーレーズ著/ブーレーズ作曲家論選(ちくま学芸文庫)を購入し、読み始めましたが、途中で投げ出しました。これは無理です。音大とか芸大で音楽理論?(そんな講義があるかわかりませんが)や作曲の授業等を受けないとこの本を理解することは到底無理なのではないかと。とまあ、あまり難しく考えないで、このポーランド生まれの作曲家、ペンデレツキ氏のことを書かせていただきます。得意の勝手に引用させていただくことをお赦しください。

クシシュトフ・ペンデレツキ氏は1933年、ポーランド、クラクフ近郊のデンビツア生まれで、ポーランド学派の主要作曲家の一人、オーケストラを用いたトーンクラスターに大きな特徴があったとのこと。1959年「広島の犠牲者に捧げる哀歌・弦楽合奏曲」を発表。日本人にも無縁ではない作曲家ですよね。そしてトーンクラスターをAIの回答では ” 隣り合う多数の音を同時に鳴らして、「音のかたまり」を作る現代音楽の奏法、和声音型のこと”らしい・・・なんとなくわかったようなわからいような説明ですが、今回ご紹介する「ヴァイオリン協奏曲 第2番/メタモルフォーゼン」の中にもトーンクラスターらしき箇所があります。そして、ライナーによればこの曲はヴァイオリニスト、アンネ・ゾフィー・ムター氏に献呈された作品のとのこと。ムター氏の超絶テクニックに惚れ込まれたのかもしれません。何回もこの曲を聴いておりますが、このヴァイオリン協奏曲には楽譜があるのかという疑問を持つほどにムター氏の鋭いアドリブ感?がキレのある演奏と相まって素晴らしい。そして、このCD盤にはバルトーク「ヴァイオリン・ソナタ 第2番」も収録されていて、こちらはヴァイオリンとピアノの競演で非常に挑戦的な現代音楽の世界が展開していきます。現代音楽も捨て難い魅力があるのですね。

CD盤についての情報です。ペンデレツキ作曲「メタモルフォーゼン<ヴァイオリン協奏曲 第2番>」のレーベルはドイツグラムフォン、CD番号POCG-10061です。オーケストラはロンドン交響楽団、録音は英国ワトフォード、1997年に録音されていますのでちょっと古い録音ですが、音質は大変良好です。「ツィゴイネルワイゼン、ヴァイオリン名曲集」のCDレーベルはドイツグラムフォン、CD番号POCG-1679。指揮はジェイムズ・レヴァイン、オーケストラはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、1992年録音となっています。尚、最後の写真は文中の「ピエール・ブーレーズ著/ブーレーズ作曲家論選」ちくま文庫の写真になります。