R・ワーグナー/舞台神聖祭典劇「パルジファル」の壮大なるスケールを聴くにつけ・・・

CD4枚組のこの作品を”通し”で聴くにはかなりの時間を要します。覚悟がないとなかなか聴くことはできません。クリスマスが近づいてきたので、ちょっと聴いてみるかと・・あまり難しいことは考えずに聴き出すとやはり西欧キリスト教の奥深さというか深淵さを感じるのですが、ライナーをよーく読んでみると、そう単純なものではないようです。コンスタンティン・フローロス氏(ギリシャ生まれ、ウィーン音楽院で作曲法と指揮法の学位を取得、1961年、ドイツ/ハンブルグ大学の音楽理論教授)の説明の中で、カソリックの神父、E・ヘメス氏の「ワーグナーはキリスト教の真の精神に最後まで無縁だったのではないか」ということを述べられております。R・ワーグナーが”パルジファル”を完成させる上で大きく影響を与えたのが19世紀に生きたドイツの哲学者ショーペンハウアー氏であったのは定説のようです。ショーペンハウアーは”人生というのは困難や苦労の連続であるけれども、この世に蔓延る苦しみを根底に捉え、そこから「生きる」ことの希望を探し続けなければならない”と説いています・・なにやらキリスト教の聖書にでてくるイエスの言行録の文言のようにも思えます。”パルジファル”の世界観は西欧世界の長い歴史の中で捉えなくてはいけないテーマであるのでしょう。キリスト教を根幹にして、ショーペンハウアーのペシミスティックな思想からヒントを得たワーグナーの畢生の大作といえるのではないかと・・・これはブログのテーマにしては大きすぎ、また私ごときがあれこれ述べる資格はないのでこの話は終わりにします。

 

ショーペンハウアー哲学、キリスト教の宗教理論(神学?)をきちんと理解した上で、この”パルジファル”を聴かないと真に理解したとは言えないのか?そんなことを考えていますが、私はひとつの音楽劇として、またオーディオ的な視点で鑑賞しようと思っています。指揮はジェームズ・レヴァイン、メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団、パルジファル役はプラシド・ドミンゴ、他にはバスのクルト・モル、ソプラノのジェシー・ノーマン等有名どころが出演されています。日本人の片桐仁美さんという方も”アルトの声”で出演されております。主題のメロディは大変美しい旋律で、やはりクリスマスが迫っている寒いこの時期に聴くのにはふさわしいものです。そして録音も素晴らしく、合唱団のコーラスが広い音場の中に心地よく響きます。まあ、小型のスピーカーシステムより大型のスピーカーシステムで聴く方がこの音楽劇に浸ることが出来るとは思います。私のJBLコントロールモニター4319も高級なスピーカーシステムではありませんが、一応ウーファー(低域専用スピーカー)は直径30cmあるのでそこそこ低域は出ます。アンプとはバイワイヤリング接続(B/Bタイプ・3m)をしております。クラシックをJBLで聴くの?と思われる方はいらっしゃると思いますが、このスピーカーシステムはオールラウンドでロックでもジャズでもいけます。ジェームズ・レヴァインといえば、このs.d.j.acousticsのホームページの中の”ケーブルの試聴”のコーナーで紹介していますが、ホルスト/組曲「惑星」・シカゴ交響楽団のCDをご紹介させていただいています。