指揮者・小澤征爾さんがお亡くなりになりました。

先日お亡くなりになった指揮者・小澤征爾さんは、グスタフ・マーラー作曲「交響曲 第2番ハ短調 ” 復活 ” 」を自己の十八番にされているようです。以下、ライナーで解説されている柴田龍一氏の文章を部分的ではありますがご紹介させていただきます。

このアルバムには、ソプラノの菅 英三子、コントラルトのナタリー・シュツットマン、晋友会合唱団をゲストに迎えてレコーディングされたこのマーラーは、小澤とこのサイトウ・キネン・オーケストラの最近の状況を鮮やかに伝える演奏になっているといってよいだろう。小澤は、以前からこの ” 復活 ” を重要なコンサートなどでしばしばこの作品を採りあげているが、この最新録音は、その並々ならぬ熱気と緊迫感が特に目を引く演奏になっている。小澤の作品の聴かせどころを巧みに捉えた明快でメリハリの効いた演奏設計がことさらに印象深いこの演奏にあっては、それが一気に燃えあがるような楽員たちの一丸となった気迫とも相まって、非常にドラマティックで迫力のある表現を生んでいる。こうした燃焼度の高い作品の再現は、小澤とサイトウ・キネン・オーケストラが最近になって到達することができた境地を物語るサンプルでもあり、大きく注目を集めることになるだろう。

この演奏は2000年1月に東京文化会館にてライヴ録音されたもので、今から23年も前になります。私は、このCD盤を購入しようと思った一番の理由・・それは小澤さんの顔の表情なのです。そしてジャケットデザインの中の小澤さんのバストショットが絶妙にレイアウトされているところにこのジャケットデザインのセンスの良さを感じます。横から捉えた小澤さんの顔にはストレートな光はほとんど当たっていません。白髪と手だけに当たっています。しかし、微妙な光の反射を受けたこの顔の表情がなんというかこのCD盤の本質を物語っているのではないかと私には感じられるのです。マーラーの ” 復活 ” に対する深い共感、真摯な解釈は、実際にCD盤から聴こえてくる演奏を聴くとまさに感動的で、さすが十八番にされているシンフォニーです。CDレーベルはソニークラシカル、CD番号はSRCR 2566~7で、2枚組です。

壮大なスケールのシンフォニー(交響曲)ですから、スピーカーのサイズは大きいに越したことはないですけれども、低域がしっかり再現できる小型のスピーカーで、音量を普段より大きくして聴いていただければかなり満足できると思います。ただ、くれぐれもご近所迷惑にならないように。そして小澤征爾さんの指揮と言えば、私が企画・製作したスピーカーケーブル、” ファイアー・バード・ラウド・スピーカーケーブル ”と命名したくらい私のお気に入りのバレエ音楽であるストラビンスキー作曲 ” 火の鳥 ” のアナログ盤がお薦めです。CD盤も発売されています。演奏はパリ管弦楽団、1972年にパリ管弦楽団と録音した ” 火の鳥 ” は小澤征爾さんの初期の録音の中でもひときわ優れた演奏で、その才能を世界のレコード・ファンに強く印象づけた一枚だったみたいです。レコードレーベルは東芝EMI、レコード番号はEAC-80090です。CD盤の方のレーベルはEMI classics(ARTシリーズ)、CD番号はTOCE-59174です。” ART ” とはロンドンにあるアビー・ロード・スタジオにおいて開発されたデジタル・マスタリング・システムによってリマスターされたものにのみ許される価値あるマークとのこと。このマークが付けられたアルバムでは、より優れた存在感と現実感をもったEMIならではの繊細な音質を楽しむことができるようです。