スペインの作曲家 ファリャ「バレエ音楽/三角帽子」、「恋の魔術師」は隠れた名盤だと思います。

スペインの作曲家といえば、アルベニス、グラナドスが有名どころみたいですが、今回ご紹介するファリャは1876年にスペイン・アンダルシア州カディスで生まれました。アンダルシアのフラメンコに強く影響を受けたファリャは1907年から1914年までパリに滞在し、彼の才能をいち早く認めたフランス人作曲家ポール・デュカスから同郷のアルベニスを紹介され、そしてラベル、ドビュッシーとも親交を深めたそうです。スペインの民族主義と印象主義がバランスよく混在しているとのこと。イサーク・アルベニスやエンリケ・グラナドスはスペイン民族主義に重きをおいたスペイン国民楽派の作曲家だったのに較べ、ファリャはラベル、ドビュッシーの印象主義に影響を受け、そのことが彼を国際的な作曲家にしたと言われております。当時の音楽の中心はパリだったのですね。

指揮はシャルル・デュトワ氏※1、オーケストラはモントリオール交響楽団、1981年にモントリオールで録音されました。レーベルはLONDON/DECCAで、CD番号はPOCL-5086になります。とにかくLONDON/DECCAの録音センスが光っていて、言葉では旨く言い表せませんが、残響音の感じがいかにもDECCAならではの音なのです。このデュトワ+モントリオール交響楽団は私の所有しているCDでは他にもリムスキー・コルサコフ交響組曲「シェエラザード/CD番号 FOOL-23050」、ムソルグスキー組曲「展覧会の絵/CD番号 POCL-5014」など大変録音の優れたCDが発売されていますので、そちらも是非聴いてみてください。

このCDの中の「バレエ音楽/恋の魔術師」を聴くと、私にとって未知の国スペインに行ってみたい気持ちにさせてくれます。この演奏のスカッとした空気感、奥行き感、低域から高域にかけて非常にバランスのよい仕上がりになっていて、私が思うにかなりの名盤ではないかと感じています。録音の良いCD盤やレコード盤は小型サイズのスピーカーでも十分に音の良さを発揮できると思っております。出来ればバイワイヤリング対応の端子があるタイプのスピーカー※2の方が理想ではありますが・・

※1  1936年スイス・ローザンヌ生まれの指揮者で、1978年にカナダのフランス語圏にあるモントリオール交響楽団の音楽監督となり、このオーケストラを世界の一級オーケストラに匹敵するレベルに引き上げたとのことです。この両者のコンビは、今や本場フランスも含め、世界で最もフランス音楽を美しく演奏するオーケストラという評価を与えられているそうです。

※2  高級スピーカーの中には敢えて、シングルワイヤリング(1系統の端子)にしているブランドもあります。一概にバイワイヤリング対応スピーカーの方が音がいいわけではありません。高級スピーカーはバイワイヤリング対応のものが多いことは最近の傾向としては言えると思います。