ベルリオーズ「幻想交響曲」の”グロテスクさ”がよくわかりませんが・・・。

クラシック音楽の歴史的名盤と言われるものを私はほとんど所有しておりませんが、今回取り上げるフランス人指揮者シャルル・ミュンシュがタクトを振った、ベルリオーズの代表作「幻想交響曲」は、ほとんど唯一の名盤といえるかもしれません。この交響曲には、”ある芸術家の生涯のエピソード”というサブ・タイトルが付けられていて、ベルリオーズ自身の体験と夢想から生まれた、私小説的な作品といえるとのことです。(出谷 啓氏著/CDで聴くクラシック名曲・名盤による)

この曲についてネットで検索すると”グロテスク”という表現が使われることが多い気がします。コトバンクで検索してみますと、「一般的には、怪奇な、気味悪い、ぎょうぎょうしく風変わりな、などの意味を持つ形容詞であるが、(中略)今日では、”グロテスクは、不可解な内的世界を顕在化するものとして、文学、芸術の重要な一面となっている”・・・正直よくわかりません。ベルリオーズがイギリスのシェイクスピア女優、ハリエット・スミッソンに激しい片思いをしてしまい、叶わぬ恋なのですが、その強い想いをこの曲に託す・・まあ、今の時代で言えばちょっと気持ち悪いストーカー的気質(ベルリオーズさん、ごめんなさい)というか、こうゆうところが”グロテスクさ”に繋がっていくのかなと。

ミュンシュ指揮のアナログ盤の録音は、1967年みたいですから、かれこれ50年以上経っています。その割に、音質的に”古さ”をあまり感じません。”グロテスクさ”がある演奏かといわれると、シャルル・デュトワ指揮/モントリオール交響楽団の都会的で洗練された「幻想交響曲」に比べると、確かにおどろおどろしいイメージはあるかと思います。BGM的に聴くのにはデュトワ盤がお薦めですが、歴史的?名盤のミュンシュ指揮のアナログ盤は捨てがたい魅力があります。レコードレーベルは東芝EMI、レコード番号はEAC-81031、デュトワ指揮のCD盤はロンドン(DECCA)レーベルでCD番号はPOCL-5060になります。

ミュンシュ指揮のアナログ盤の音質は、大太鼓(バスドラム)、コントラバスが効果的に聴こえてきます。スピーカーは出来れば、口径20cm以上のウーファーのあるものがいいです。アナログ盤を聴くには最低30mウーファーでないと、という評論家の先生が言われていましたが、なかなか30mウーファー付のスピーカーとなると大型スピーカーになるので、スペース的にきつい方もおられると思います。私が所有しているJBLのコントロールモニター4319は30mウーファーを積んでいますが、サイズはそれほど大きくなく、ブックシェルフぎりぎりのサイズです。デュトワ盤であれば、質のいい小型スピーカーで聴くのもいいものです。私は小型スピーカーに”ファイアーバード・ラウドスピーカーケーブル2.5m×2ペア(B/Bタイプ)”のバイワイヤリング接続で試聴しています。大太鼓、コントラバスの低域をしっかりと出してくれます。もちろんミュンシュ指揮のアナログ盤も大太鼓、コントラバスもぎりぎりですが出しております。